フィリピンの拳銃強盗とスリ②対策編|移住経験者が実践した市街地での工夫

スリや拳銃強盗など、様々な犯罪が発生しうるフィリピンでは、常日頃荷物に気を配り、道はある程度気を付けて歩かなければならない。他方、最大限警戒し続けた挙句に疲れ果て、せっかくの旅行を楽しめなくなってしまっては本末転倒だ。場所や状況に応じて警戒を緩め、パワフルなフィリピン文化を存分に味わってほしい。

この記事では、フィリピンでの就労経験を持つ筆者が現地で実践していた、市街地での安全性を高める工夫を紹介する。フィリピン人の知人に教わった知識や、年代や職業の異なる現地の日本人との情報交換を通して、基本は抑えつつ、限られた条件の中でも楽しみを見出せるよう、自分なりに編み上げた安全対策だ。できるだけ多くの人が実践できるよう、簡単かつシンプルな内容を集めた。

1. 服装

服装は、その人の経済力や立場を示すパラメーターとして機能する側面を持っている。観光客らしいファッションは、現地に慣れておらず、海外旅行をできるだけの資金力を持った人物であることをそのまま外部に知らしめてしまう。治安が悪い地域では、日本ほど個性豊かにファッションを楽しめないのだ。(さらに、東アジア系の顔立ちは欧米系と比べて英語を話せない場合が多く、盗難被害を受けても捜索手続きを出されにくいので標的になりやすい)

マニラなど犯罪が際立って多い地域では、現地の人々にある程度近い、ラフでカジュアルな服装を推奨する。

金属、メタル系アクセサリー禁止

金属系のアクセサリーは「そのままもがれる」と思っておいた方が良い。どうしても身に着けたい場合は、金属と比べて換金価値が低い素材のアクセサリーが良いだろう。フィリピンには植物や織物を用いたアクセサリーがあるので、現地調達もおすすめだ。

リゾート服、ビジネスライクの服は非推奨

個人的な意見としては、旅行者らしいリゾートスタイルや、装飾の多い服、スーツやポロシャツなどビジネスライクの服装はなるべく避けると良いだろう。また、半袖短パンで清潔感があるのも、遠征できる程度の自由と金があるザ・バックパッカーという判定になる可能性がある。カジュアルな服装でも清潔感がありすぎるとマニラの市街地では浮いてしまうので、少しでも着古した感があると丁度良い。気がする。

筆者の見解では、フィリピン渡航に適した服装は、「半袖・長ズボン・パーカー」である。特にカジュアルな長ズボンは強く勧める。通気性の良い長ズボンをユニクロ等で買っておくと、現地慣れ感が程よく演出できる。舗装が崩れた歩道など、やたらと多いトラップによる切り傷も防ぐことができ、破傷風対策にもなるだろう。

パーカーも欠かせない。強すぎる冷房で絶望した時に暖を取るためだ。場合によっては、日本を出発する飛行機の機内が寒すぎることがあり、冷房との戦いが旅ではじめの難関だったりする。筆者もフィリピン居住時、長ズボンと薄手のパーカー、適当なTシャツをよく着ていたが、アゴから転んで傷が尾形百之助のひげになった時はさすがに救いようがなかった。

若者をはじめ、フィリピンにもおしゃれを楽しむ人たちがいる。暑い気候と不安定な治安故、日本のように布や繊細なアクセサリーを身に着ける人は少ないが、暑さに耐えて長袖を着る人もおり、街中ではカジュアルで飾りすぎないコーディネートがみられる。古着の着古した生地感は現地ファッションになじみやすいので、安全かつファッションを楽しめるだろう。

2. かばん

ここでは、旅行で使う大きなキャリーケースやバッグパックではなく、市街地に出歩く際の小さな持ち歩き荷物について言及する。小さめで目立たず、体にしっかり寄せてひったくられにくいななめ掛けタイプが基本だ。ユニクロに売ってる黒のななめ掛けバッグがおすすめ。

持ち物は以下のように少なくとどめておくと良い。

  • スマホ
  • 少しの現金
  • パスポート(必要であれば)

スマホ

フィリピン渡航を複数回経験している知人の中には、使用しているスマホと別に古い携帯電話を持参する人が複数見られる。盗まれても、いつも使っているスマホで連絡をとれるようにするためだ。筆者は荷物をできるだけ軽くしたいので、いつも使っているスマホを1台持つのみだ。正直スマホが2台以上あると重いのでどちらでも良いと思う。

現金

現金はポケットに入れると、子どもに囲まれた際にほぼ確実にすられると考えておいた方が良い。また、全ての現金が一気に盗まれないよう、現金は分散させて持つのが基本だ。

例えば、私はフィリピン渡航の際下記のように分散させていた。

  • 財布:1000ペソ(約2500円)
  • 財布2:全体のお金の約50%
  • ジップロック:全体のお金の約50%
  • 靴の中:1000ペソ

市街地に出るときに持っていく財布は無印の財布で、もう4年間ボロボロになるまで使い続けている。正直汚いが、ブランド物より安全だ。なるべく携帯するお金を減らした方がよく、近場を移動するだけなら500ペソ程度で良いだろう。

その日に使わないお金は、財布2とジップロックに分散させていた。財布2は宿に置くカバンの奥深く、ジップロックは宿に置くカバンの別の場所にへそくり的に入れていた。財布を2つ持っておくと、日本円の管理や、長期滞在時にお金を引き出すためのキャッシュカードを管理しやすい。

また、極まれに靴に1000ペソ程度携帯していたことがあった。あまりにも拳銃強盗が頻発していた時期に、外に出歩くのが怖くて、ひったくられた際にせめて家に帰れるよう、最低限のGrab代を入れていたのだ。結局使うことはなかったし足がじめっと匂ったが、心のお守りになった。

パスポート

パスポートは、フィリピン国立美術館など一部施設で入場に必要な場合があるので、持ち歩く方が良い場合がある。移住者の場合、身分証明書の提示を求められる際、西暦で書かれた身分証明書が必要な場合が多々あるため、公的機関に出向く場合はパスポートを持ち歩かなければならない機会が少なくない。

常に視界の中で管理

飲食店などで席につくとき、私は常に荷物を膝の上に乗せていた。スリ対策を万全にするのであれば、絶対に荷物を椅子の下においてはならないし、隣の席にもなるべく置かないほうが良いと思う。取っ手を腕にかけておくのも良い。飲食店で発生する置き引き事例の中には、犯人がグループで乗客として店に滞在し、置き引きの機会をうかがっている場合があるようだ。

外を歩くときはかばんを車道の反対側に。日本の高齢者に呼びかけられているひったくり対策と同じだ。在フィリピン日本国大使館が発表する犯罪情報は拳銃強盗のみだが、置き引きは拳銃強盗より頻発しているはずなので、荷物は十二分に管理してほしい。

3. 屋外での振る舞い

スマホは外で使わない

地図の確認、チャットの返信、Grabの召喚など、スマホを用いる動作はすべて屋内で行おう。画面に集中している隙にスマホをひったくられてしまう可能性を減らすためだ。どうしてもスマホを屋外で使う必要がある場合は、なるべく警備員が近くにいる建物の壁際で背後をとられないようにし、周りに目配せしながら使用したほうが良い。知人の体験談だが、キアポなど人がごった返すような場所では、子どもに囲まれてさっとスマホを盗まれる場合もあるようだ。

夜道、裏通りの移動を避ける

筆者のフィリピン滞在時に耳にした拳銃強盗は、被害者が22時以降に街を出歩いていた際に発生したものが多かった。事件の発生現場は、大通りも含め、人通りの少ない道が多い。大通りから一本外れるだけでも通行者の数ががらりと変わるので、基本的には大きな通りを通行しよう。また、車道からなるべく離れた歩道の端で歩くのも良い。

まとめ

日本に住んでいる人が、安全が当たり前ではない国に初めて渡る時は緊張すると思う。しかし構えすぎることはない。少しの心がけで安心できる対策がそれなりにあり、ある程度発展した都市エリアであれば警備員も沢山いる。

それに、困ったときは助けてくれるフィリピン人もいるだろう。日本人がそうであるように、すべての人が優しいとは言い切らないが、フィリピンの人々は日本の人々よりアドリブを用いた問題解決に長けている。

フィリピン新規は日本の感覚ではっちゃけすぎないこと。フィリピン古参は余裕こいていきらないこと。どんな人も、リラックスできる塩梅を探しつつフィリピンでの安全対策に向き合ってみよう。